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2025年度から始まる新課程入試の特徴と共通テスト対策①

2024年03月01日

2022年4月時点での高校1年生から新学習指導要領が始まり、2025年度には新課程に対応した共通テストが開始されます。それに伴い、共通テストにも大きな変更が加えられます。今回は新課程入試について、現行課程と新課程の変更点や既卒生向けに対応方法を紹介していきたいと思います。

新課程における教科・科目の再編について

新課程に対応した共通テストを理解するにあたって、新学習指導要領と現行課程の教科・科目の違いを理解する必要があります。まずは学習指導要領の変更があった科目について、それぞれ紹介していきます。

国語

現行新課程
国語総合
国語表現
現代文A
現代文B
古典A
古典B
現代の国語
国語文化

論理国語
文学国語
国語表現
古典探求

(太字は必修科目)

現行の課程では文章を「読む」という能力が重視されていました。ですが改定後には「話す、聞く」、「書く」ことが重視されるようになっています。文章を要約したり、自分の意見を相手に伝えたりする能力が求められるようになります。後ほど詳しく解説しますが、共通テストにおいても出題形式が変更されています。

地理歴史

現行新課程
世界史A
世界史B

日本史A
日本史B
地理A
地理B
いずれか1科目必修 




いずれか1科目必修
地理総合
地理探求
歴史総合
日本史探求
世界史探求

(太字は必修科目)

今までは世界史Aか世界史Bの中から1つ選択し、それに加えて日本史A、日本史B、地理A、地理Bのなかからどれか一つを選択するという方式でした。しかし、新課程になり、大きく枠組みが変わり、地理総合と歴史総合という科目が必修となりました。地理総合は現行課程の地理Aに近い内容となっているのですが、地理Aと比べて歴史や政治経済など、他の社会系科目と関連性を持たせた内容が多くなっています。そのほか、自然環境と防災、地理情報システムに関する理解など、実生活にも応用できるような領域が多くなっています。

 歴史総合は現行課程の世界史Aと日本史Aを合わせたような科目となっています。それぞれ近現代の世界、日本の歴史を扱った科目で、それらを必修とすることで世界の中で日本がどのような位置にあるのかという国際感覚を磨くことが目標とされています。

公民

現行新課程
現代社会
倫理
政治・経済
公共
倫理
政治・経済

(太字は必修科目)

公民は現代社会が廃止され、公共という科目が追加されました。内容としては現代社会とほぼ同じですが、現代社会に比べて主体性、能動性が重視されています。  

実際、文部科学省が発表した公共の学習ポイントには、「自立した主体として社会に参画するために必要な資質・能力を育成する内容構成」が掲げられています。問題の傾向としても問題文が長く、図表の量が現代社会に比べて多くなっています。共通テストでも内容を読み取り、その内容に合う意見を選択させる問題が出題されています。

数学

現行新課程
数学Ⅰ
数学Ⅱ
数学Ⅲ
数学A
数学B
数学活用
数学Ⅰ
数学Ⅱ
数学Ⅲ
数学A
数学B
数学C

(太字は必修科目)

大きな変化としては数学活用が数学Cへと変更された点にあります。それに伴い、「ベクトル」「式と曲線」「複素数平面」が数学Cへと移行されました。また、細かい点で言えば数学Bでは「確率分布と統計的な推測」が、数学Aでは期待値が復活するなどが挙げられます。ほぼすべての単元で日常の事象とのつながりや、コンピューターを活用することが重視されるようになっており、共通テストの出題もその傾向が濃くなっています。

外国語

現行新課程
コミュニケーション英語基礎
コミュニケーション英語Ⅰ
コミュニケーション英語Ⅱ
コミュニケーション英語Ⅲ
英語表現Ⅰ
英語表現Ⅱ
英語界隈
英語コミュニケーションⅠ
英語コミュニケーションⅡ
英語コミュニケーションⅢ
論理・表現Ⅰ
論理・表現Ⅱ
論理・表現Ⅲ

(太字は必修科目)

必修科目の科目名は現行課程と新課程で違いはありません。しかし、新課程では、教育目標が異なり、学習内容や出題傾向に変化がありました。新課程入試では英語を使って「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」ができるようになることを目標としています。英語コミュニケーションでこれらの5領域をまんべんなく上達させ、論理・表現の科目でプレゼンやディベートなど、ビジネスや学問の領域にも応用できる力を伸ばしていくことを目標に、改定がされました。

学習指導要領で指定されている単語数も増えています。現行課程では、小学校から高校卒業までに3,000語程度の単語を習得することになっていましたが、新課程では4,000~5,000語程度とされました。

情報

現行新課程
社会と情報
情報の化学
いずれか1科目情報Ⅰ
情報Ⅱ

(太字は必修科目)

今までも情報は必修となっていましたが、新課程になり、情報Ⅰが必修科目となりました。情報Ⅰにはプログラミングが学習内容に含まれ、このほかにもAIや情報リテラシーなど、社会生活に関連するテーマが内容として盛り込まれています。

情報が共通テストの科目に追加!

 そしてなんといっても一番大きな変化は、情報が共通テストの科目に追加されたことです。情報の配点は低い大学が多いものの、出題される問題は完全な新作問題ばかりです。共通テストで情報を受験する場合、対策には十分な時間をかけましょう。

共通テストにおける新課程入試の変更点

試験時間・科目・出題内容の変更点

2025年からの共通テストでは、試験時間と試験科目の実施順序に大きく変更が加えられています。また、試験時間の変更点は、国語の試験時間が10分長くなった点です。

1日目

2024年実施共通テストの時間割
9:30~11:40(2科目受験)  

10:40~11:40(1科目受験)

「世界史A」「世界史B」
「日本史A」「日本史B」
「地理A」「地理B」
「現代社会」「倫理」
「政治・経済」「倫理、政治・経済」
13:00~14:20「国語」
15:10~16:30「英語リーディング」
17:10~18:10「英語リスニング」

新課程対応の2025年度共通テストの時間割
10:40~11:40(1科目受験)
9:30~11:40(2科目受験)  
「歴史総合、日本史探求」
「歴史総合、世界史探求」
「地理総合、地理探求」
「公共・倫理」
「公共、政治・経済」
「地理総合、歴史総合、公共」
13:00~14:30「国語」
15:20~16:40「英語リーディング」
17:20~18:20「英語リスニング」

 上の表が現行課程の共通テストの時間割、下の表が新課程の共通テストの時間割です。国語の試験時間が10分、長くなりました。

1日目の科目選択パターンの変更点

地歴・公民では歴史総合、公共という新しい科目が追加されたことにより、科目に変更が加えられています。また、地歴・公民において2科目選択する際、組み合わせが可能なパターンとできないパターンがあるため、そちらについて下に表を載せます。

 地理総合,地理探求歴史総合,日本史探求歴史総合,世界史探求地理総合,歴史総合,公共  公共,倫理公共,政治・経済
地理総合&歴史総合地理総合&公共歴史総合&公共
地理総合,地理探求 ××
歴史総合,日本史探求 ××
歴史総合,世界史探求 ×××
地理総合,歴史総合,公共地理総合&歴史総合×××   
地理総合&公共×   ××
歴史総合&公共××   ××
公共,倫理××  
公共,政治経済××× 

国語の出題内容が2025年度共通テストから変更される

 また、その他の変更点として、国語の試験時間が90分となりました。試験内容にも変更が加えられ、近代以降の文章が3題と古典2題が出題されるようになります。試験時間は増えましたが、全体としての文量も増加しているため、時間内に得点できる問題を確実に解き進めていくことが大切であることには変わりはありません。

2日目

2024年実施共通テストの時間割
9:30~10:30「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」
11:20~12:30「数学Ⅰ」「数学ⅠA」
13:50~14:50「数学Ⅱ」「数学ⅡB」「簿記・会計」「情報関係基礎」
16:50~17:50(1科目) 15:40~17:50(2科目)「物理」「化学」「生物」「地学」

新課程対応の2025年度共通テストの時間割
10:40~11:40(1科目受験)
9:30~11:40(2科目受験)
「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」
「物理」
「化学」
「生物」
「地学」
13:00~14:10「数学Ⅰ」「数学ⅠA」
15:00~16:10「数学ⅡBC」
17:00~18:00「情報Ⅰ」

こちらが2日目の試験時間割です。情報が試験科目に追加されました。そしてそれに伴い、専門科目の理科が2日目の最初に実施されるようになりました。その他にも「数学Ⅱ」、「簿記・会計」、「情報関係基礎」が削除され、数学ⅡBCの試験時間が70分になりました。こちらも国語と同様に、出題量が増えたことに伴い、試験時間が長くなりました。決められた時間で確実に得点できる問題から解き進めていくという現行試験の対策と同時対策で問題ありません。

理科基礎科目が1科目へ統合される

その他の細かい変更点としては理科基礎科目が1科目へと統合されました。ただし、2領域を選択して解答するという方式は変わらないため、実質的には今まで通りと言ってよいでしょう。

全体として見たときに試験時間が伸びているので現行課程より体力勝負の面が強くなります。受験生はなるべく同じ時間割で問題演習をするなどして、長時間集中力を持続させるトレーニングを積むようにしましょう。

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この記事の監修

 名古屋講師会_浅木真里

名古屋講師会 教務部長浅木真理

大学受験指導歴19年、名古屋講師会創業時より医学部受験、難関大学受験のカリキュラム作成を担当。
数多くの生徒を難関大、医学部に合格させてきた講師会で、学習支援をしてきた受験生とその保護者は1000人超。

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