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2025年度から早稲田大学入試が難しくなる?それともチャンス?②

2024年06月03日

2025年度から早稲田大学入試が難しくなる?それともチャンス?①はこちら

2025年度早稲田入試、こんな風にかわりそう!

 早稲田大学の入試方式が変わるだけでなく、2025年度からは新課程の入試が始まります。これによって、先ほど紹介した社会科学部、人間科学部以外の学部でも少なからず入試の方針は変わると思われます。

 新課程入試でどう変わるか、科目ごとに紹介していきたいと思います。

国語

 まずは国語です。国語は社会科学部、教育学部、商学部など様々な学部で二次試験の科目に入っており、早稲田文系を受験する際には非常に重要な科目です。こちらは新課程になるにあたって、「話す、聞く」、「書く」ことが重要視されるようになりました。

 では実際に出題形式がどう変わるかというと、資料の読み取りをし、そこから得られた結果や考察について論述する問題が出題されるのではないかと予想されます。実際、共通テストのサンプル問題でも資料の読み取りをメインとした大問が追加されているため、早稲田大学をはじめとして多くの大学でも似たような問題が出題される可能性が高いです。

地歴公民

 地歴公民も新課程になるにあたり、大きな改変が行われた科目の一つです。旧課程では世界史AorBに加え、日本史か地理を選択するという形でしたが、新課程では地理総合、歴史総合という科目が必修になりました。

 地理総合は旧課程の地理Aに近い内容を扱うほか、歴史や政治経済のエッセンスも含んだ総合的な科目となっています。歴史総合は旧課程の世界史Aと日本史Aを合わせたような科目で、近現代の世界、日本の歴史について扱った科目となっています。

 実際の問題では、国語と同様に資料や文章を絡めた出題がされるでしょう。共通テストでも難民問題の現状や課題について扱った図表の考察と国と地理的な知識を試すような出題がされていました。

 しかし、早稲田大学の地理は世界地理を中心に難易度の高い知識を問う問題が例年出題されています。合格最低点を競う受験生のレベルでは、思考力、判断力ではそこまで差がつかず、時事や教科書レベルを超えた知識問題で差がつきます。地理で他の受験生と差を付けたい場合、知識のインプットにはかなり時間を割いた方が良いでしょう。

 歴史の場合、特に近現代の出題が増えると予想されます。こちらも共通テストに似たような、世界の中での日本の位置づけをテーマとした出題がされると思います。

 歴史の場合も地理と同様、高校レベルを超えていると思われるような設問がしばしば見られます。悪問と言われるような出題もされているため、解くべき設問をしっかり解き、完璧を目指しすぎないことが重要です。

 

2025年度以降、早稲田の入試方式はまた変わるのか?

 社会科学部と人間科学部、スポーツ科学部が2025年度に入試方式が変わったことで、今後他の学部でも入試要項が変わる可能性が高いでしょう。実際、2026年度には教育学部のC方式において、共通テストの科目に情報が盛り込まれたり、国際教養学部の共通テスト科目に数学が追加されたりすることが公表されています。

 このことから、今後私立文系入試においても共通テスト対策が重要になってくるものと思われます。早稲田大学が入試形式を変えると他の私立大学も追従して入試形式を変えることが多いため、MARCHや日東駒専といった大学群も今後共通テストを試験科目に追加する可能性があります。仮に共通テストが試験科目に課されていなくても、新課程の問題に慣れるという意味で共通テスト対策は行っておくのがおすすめです。

 また、今後の私立文系入試では数学がカギになってくる可能性が高いです。人間科学部の数学選抜方式のように、数学ができるようになることで選抜方式の選択肢が大幅に広まります。東大や京大、一橋大学のように二次試験で数学を使う受験生と戦う必要があるのでかなりの実力が必要になってしまうのですが、メリットは大きいです。

 以前は名古屋講師会でも私大文系志望者は英語・古典の受講者が多かったですが、近年、英語、数学の受講者が増えてきています。これは、数学が文系入試でも重視されることが多くなってきたためです。

総合問題とは?

 2025年度から社会科学部とスポーツ科学の入試で、総合問題が追加されるようになりました。早稲田大学のHPで

(https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/change/)で総合問題のサンプルが公開されていたので、そちらについて解説していきたいと思います。

社会科学部

 社会科学部の総合問題は大問2問で構成されています。

 大問1は社会学に関する2つの文章が与えられています。1つ目の文章は社会の中におけるアイデンティティについて論じた文章で、同一のアイデンティティを持つ集団と、反対のアイデンティティを持つ集団に対して被験者がどう行動するかという実験が文中に提示されています。この実験に対する解釈を問う問題や穴埋め問題が出題されており、総合問題とは言うものの、共通テストの国語に近いような形式です。

2つ目の文章ではコンピューターの中に仮想的な空間を作り、その中でエージェントに一定のルールを課すことで自然、社会の法則を明らかにするABMという研究モデルについて扱った文章が出題されています。こちらも1つ目の長文と同様、共通テストに似たような出題がされているのですが、記述式の問題が問6で出題されています。文章の内容を正確に掴む力、簡潔に表現する力が問われます。

 大問2も似たような形式の出題になっています。温室効果ガスの排出に関する国際条約において考慮するべき点を論じた文章がテーマになっています。

基本的には大問1と似た雰囲気の問題が出題されているのですが、大問2では図やグラフの読み取りが増えています。問題文自体もやや長く、抽象的な表現も多いので比較的時間がかかるでしょう。

 また、問8において200字の論述が出題されています。本文に加えて、3つの図をもとに温暖化対策の国際的な取り決めを話し合う際の注意点について論じる問題です。参照するべき情報が非常に多く、それでいて200字以内で論述しなければならないのでかなり簡潔にまとめる必要があります。

スポーツ科学部

 次はスポーツ科学部の総合問題について解説します。スポーツ科学部の場合、出題の意図、ねらいが公表されています。要約すると、スポーツに関する学習内容や経験に基づく能力、素養を評価すること、とされています。形式は大問3問構成で、試験時間は120分です。

 大問1は日本人の生活時間の配分について示したデータが示され、解釈や穴埋めをする問題が出題されています。文章は与えられておらず、データから内容を推察する問題となっており、共通テストの国語とも若干雰囲気が異なった問題となっています。スポーツに関した出題もされており、大問2は国民のスポーツにかける時間について推察するものとなっています。

 大問2では全国の中学2年生を対象とした体力、運動能力、朝食の摂取状況の経年変化の調査データが与えられ、情報を読み取る問題が出題されています。

 大問1とは違い、複数の図表から情報を読み取らなければなりません。文章自体はそこまで難しくないのですが、パズルのように複数の情報を取捨選択しなければならず、受験生の判断力、思考力が明確に点数として表れてしまう出題と思われます。共通テストの国語が形式としては比較的近いので、共通テストの問題集が対策としては有効かと思います。

 大問3は小論文に近い内容です。サンプル問題では、『「経験や勘は化学ではないだろうか?」という書き出しで、その文字も含めて601字以上、1,000字以内で論じなさい』という問題が出されていました。

もともとスポーツ科学部の小論文は独特な出題がされることで有名で、例えば2024年には「この世からスポーツがなくなったらどうなるか」、2023年には「退屈の意味について」といったように内容自体は平易なのに書きにくい出題がされていました。しかし今回のサンプル問題ではスポーツ科学が実験的アプローチ中心の学問というイメージを持たれていることを背景とした出題がされています。サンプル問題でこういった出題がされるということは、本番の試験でもスポーツ科学のアカデミックな一面にフォーカスした問題が出される可能性が高いでしょう。

まとめ

 今回は2025年に行われる早稲田大学の入試変更点について紹介、分析をしました。2つの学部で新しく共通テストが受験科目に追加されたこと、そして今までの科目の枠にとらわれない総合問題が実施されるようになることで各学部の志望者数は大きく変わるのではないかと予想されています。特に大きな変更が行われる社会科学部、人間科学部、スポーツ科学部は20年に1度のねらい目となる可能性が高いので、受験生は早めに対策をすることで合格可能性を大きく高めることができます。

 今回の変更を受けて、他の学部や大学でも共通テストの受験が必須になるのではないかということが言われています。必須にならなくても、新課程の問題を演習するという意味で共通テストはかなり便利ですので、総合問題のある学部を受験する方は国語だけでも演習することをおすすめします。

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この記事の監修

 名古屋講師会_浅木真里

名古屋講師会 教務部長浅木真理

大学受験指導歴19年、名古屋講師会創業時より医学部受験、難関大学受験のカリキュラム作成を担当。
数多くの生徒を難関大、医学部に合格させてきた講師会で、学習支援をしてきた受験生とその保護者は1000人超。

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